株やFXなどの投資に失敗し借金を抱える人が増えている
雑誌やメディアなどの情報や友人のすすめで、株やFX・先物取引に投資をする方が増えています。
しかし、これらの投資はうまくいけば利益を獲得できる反面、失敗をすると多額の負債を負ってしまうというリスクを抱えているのです。
一般的に、自己破産や個人再生などの債務整理は貸金業者から借金をした場合のみ手続きができると思われがちですが、投資に失敗した場合でも債務整理はできます。
債務整理の中でも自己破産手続きを利用する際には、免責不許可事由※に該当するのですが、管財手続きという正式な手続きを通して、裁量免責を得ることによって免責を得ることができます。
※免責が不許可となる理由のこと。詳しくは以下の記事で説明しています。
株やFXで負債を負う人が増えている背景
株・FX・先物取引といった投資は、多額の利益を手にできる可能性がありますが、株価や為替相場の急激な変動などにより、上手くいかなかった際には、多額の負債を負うこともあるのです。
株式投資については信用取引・FXの場合にはレバレッジによって、少ない元手で大きな額を動かすことが可能となっています。
特にFXは、現在こそ最大10倍までのレバレッジになっているものの、リーマンショックの頃にはこういった規制もなかったことから、多額の負債を負う人が続出しました。
その後、FXのレバレッジは50倍・25倍、そして現行の10倍へと徐々に規制してきたことから、一瞬で身を亡ぼすような取引の機会は減りました。
しかし、スマートフォンから気軽に投資ができるシステムの普及で、初心者でも簡単に投資がはじめられるようになった反面、失敗して借金を背負うことになった人も増えています。
投資が原因で借金をつくった場合に自己破産はできる?
株やFXなどの投資を行い、たとえば相場の変動により差損が出たような場合には、証券会社に対して追証(おいしょう)※などの負債を支払う必要があります。
「追証(おいしょう)」とは「追加保証金」の略称で、委託保証金を追加で差し入れなければならない状態のことです。
追証のために消費者金融・銀行から借金をした場合には、当然のことですがその支払いをする必要があります。
そして、追証のための借金が返済できなくなった場合には、当然ながら債務整理を考えることになります。
債務整理には以下の3つの方法があり、自己破産は債務整理の1種です。
任意整理
任意整理とは、消費者金融や銀行などの借入先(債権者)に交渉をして、月々の返済の負担を軽くする制度です。
具体的には、将来の利息をカットする、返済期限を延長する、月々の返済額を見直すなどの方法で3~5年以内に借金を返していきます。
個人再生
個人再生とは、裁判所を介して借金を5分の1~10分の1程度にまで減額し、原則3〜5年で返済する制度です。
減額された借金を指定された期日までに支払えば、残りの借金については支払義務がなくなります。
借金を減らしてもらって、決められた期限までに返していく制度です。
自己破産
自己破産は、借金の支払いが不可能であることを裁判所に認めてもらった上で、借金を返済しなくてもよい(免責)という決定をもらう制度です。
自己破産をすると原則として借金を支払う義務がなくなるため、取り立てや返済に追われなくなります。
それぞれメリット・デメリットはありますが、投資が原因で借金をつくった場合、自己破産を利用することが可能です。
正確に言うと、投資による負債は免責不許可事由に該当するのですが、裁量免責という制度によって免責されます。
しかし、自己破産は本来全額きちんと支払うべき債務・借金を裁判所に申し立てをして一方的に免責をしてもらう制度。
そのため、破産法は債務・借金の原因や、手続きへの協力姿勢などから見て、免責するに値しないような場合を列挙して、それに該当する場合には免責をしない、としています(免責不許可事由)。
具体的な例としては、ギャンブルやキャバクラにハマってできた借金などが免責不許可事由として挙げられます。
投資に失敗して借金が払えなくなったというのも免責不許可事由にあたりますが、破産法は具体的な事情を考慮して「免責しても良い」と裁判所が判断した場合には、裁判所の裁量で免責をする裁量免責という制度を設けています。
真摯に手続きに協力して、きちんと反省をしていることを示せば、ほとんどのケースで裁量免責が認められています。
ただ、投資に失敗して借金が払えなくなった場合、裁量免責相当なのかを調査するために、管財人という破産手続きを指導する立場の人が選任される管財事件となるので注意しましょう。
管財事件の場合には、弁護士費用が若干高くなることがある上に、管財人に対する費用相当の金銭の予納が必要なので注意が必要です。
株やFXなどの投資が原因の借金は自己破産(債務整理)できる
FXのレバレッジ規制によって巨額の借金をすることがなくなったとはいえ、株・FXなどの投資は借金を背負うリスクと常に背中合わせです。
株やFXなどの投資が原因の場合でも債務整理自体は可能ですが、自己破産については注意が必要です。
今は無料かつ匿名で利用できる相談窓口なども増えているので、信頼できる弁護士・司法書士に依頼して、状況にあった対処法を提案してもらうことをおすすめします。