うつ病で働けない場合、借金はどうなる?
ストレスを感じやすい状況が続く昨今の日本では、うつ病や適応障害で働けなくなり、やむを得ず借金をしてしまう人が増えています。
生活のために借金をしてしまったり、借金返済に悩みすぎてうつになったりとさまざまな事情があるとは思いますが、うつ病になった場合でも任意整理はできるのでしょうか?
今回は、うつ病と借金問題について解説してきます。
うつ病で働けない場合でも任意整理はできる
まず結論から言うと、うつ病になって働くのが難しくなった場合でも任意整理ができる可能性はあります。
”うつ病を含む精神疾患がある場合は任意整理の手続きができない”と言う法律はないので、理論的にはうつ病でも任意整理ができると言えますが、任意整理は分割払いで完済することが前提の手続きなので、毎月一定の金額を返済できるかどうかが重要です。
元本を36回~60回の分割(3年~5年)払いが不可能であれば、任意整理ではなく自己破産や個人再生をした方が良いとも言えるでしょう。
任意整理
任意整理とは、消費者金融や銀行などの借入先(債権者)に交渉をして、月々の返済の負担を軽くする制度です。
具体的には、将来の利息をカットする、返済期限を延長する、月々の返済額を見直すなどの方法で3~5年以内に借金を返していきます。
任意整理は、自己破産や個人再生と同じく債務整理の一種ですが、裁判所を通さず、あくまで自分の力で借金を完済します。
そのため、家族や恋人、職場に借金がバレる可能性が低く、任意整理は債務整理の中でも一番利用者が多い制度です。
クレジットカードやローンの利用ができなくなるデメリットはありますが、家財や官報に掲載されることはありません。
個人再生
個人再生とは、裁判所を介して借金を5分の1~10分の1程度にまで減額し、原則3〜5年で返済する制度です。
減額された借金を指定された期日までに支払えば、残りの借金については支払義務がなくなります。
もっと簡単に言えば、借金を減らしてもらって、決められた期限までに返していく制度です。
債務整理の一種である自己破産は、申請すると家財や車などの資産を失うことになりますが、個人再生の場合は、生命保険や車などの資産を持ったまま手続きができます。
また、個人再生を申請するとローン支払い中の財産を失うデメリットがありますが、住宅ローン特例を利用して返済を継続すれば、自宅を処分する必要はありません。
個人再生を申請した場合は、官報に掲載されるうえに裁判所への出廷が必要なため、家族や恋人、職場にバレずに個人再生を行うのは難しいでしょう。
自己破産
自己破産は、借金の支払いが不可能であることを裁判所に認めてもらった上で、借金を返済しなくてもよい(免責)という決定をもらう制度です。
自己破産をすると原則として借金を支払う義務がなくなるため、取り立てや返済に追われなくなります。
しかし、その分デメリットも多く、クレジットカードやローンの利用ができなくなるほか、官報に掲載されたり家や車などの財産を失ったりします。
職業や資格にも制限がかかるため、自己破産をしたあとに「社会的信用を失ってしまった」と感じる方も少なくありません。
重度のうつ病で収入が一切見込めない場合は自己破産を検討しよう
一口に「うつ病」と言っても、薬で症状をコントロールしながら働いている方・休職中の方・入院が必要な方など、症状は人によってさまざまです。
重度のうつ病で、やむを得ず退職してしまった場合や、正社員で働くのが難しく具合がいい時に単発アルバイトをしているなどの場合には、継続しての返済が難しいといえます。
そのため、上記のように毎月決まった収入が見込めない場合は、任意整理より自己破産を検討すべきかもしれません。
自己破産は借金を支払う義務がなくなる分、クレジットカードやローンの利用ができなくなるほか、官報に掲載されたり家や車などの財産を失ったりとデメリットがあるのも事実です。
しかし、毎月の返済による脅迫感が原因でうつ病が悪化しているのであれば、返済義務のある任意整理や個人再生よりも、借金から即座に解放される自己破産の方が結果として楽になれる可能性があります。
返済期間中にうつ病が原因で、休職または退職を余儀なくされ返済が滞ってしまうと、任意整理をしたにもかかわらず結局は自己破産をしなければならないというケースもめずらしくありません。
うつ病の方が任意整理を利用する場合には、以下の3つの点を確認した上で手続きを行いましょう。
・借金額の5~10分の1程度の支払いを毎月3年〜5年程度続けられるのか
・うつ病が悪化し収入がなくなった時のために、貯金をしながら支払いを続けられるか
・返済を助けてくれる親族や友人などはいるか
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